「今働いている施設から、『生活相談員をやらないか』と声を掛けられた。でも、引き受けようか迷っている」
「スキルアップしたい気持ちはあるけど、『生活相談員は大変』って聞くし・・・」
「何がどう大変なんだろう。実際生活相談員に聞いてみたいけど、周りに聞ける人がいない」
このように感じている方もいるのではないでしょうか。生活相談員をやるにしても、初めてだと「どんな仕事だろう」と思いますよね。
実は、私もそうでした。私は、介護職で現場で働いていましたが、その時の生活相談員が辞めることになったので、急に声を掛けられました。

やってみたいけど。難しいのかな。どうしよう。聞ける人もいないし。
と、自分の不安をインターネットで検索しまくった覚えがあります。
「このまま介護の現場ではなく、将来を考えて相談業務も覚えたほうがいいのかな」
「私は、仕事以外に家事・育児の役割もあるし。大変な仕事にはつかない方がいいのかな」
たくさんの不安がありましたが、おそるおそる生活相談員を引き受けました。その後なんとか3年半、生活相談員の業務をこなしてきました。
今回は、私のように初めて生活相談員になる方に向けて、生活相談員の何が「大変」なのかを、私の経験も交えながらお伝えしていきます。
この記事を読むことで分かることは、次の通りです。
- 生活相談員の「大変さ」とは何かを知ることができる
- 事前に対処方法を知っておくことができる
是非最後まで読んでください。では、見ていきましょう。
生活相談員とはどんな仕事なの?
生活相談員とは、通所・入所の介護施設において、利用者や家族の相談に応じ、介護施設やケアマネなどとの連絡・調整を行う専門職です。
生活相談員の資格
社会福祉士や精神保健福祉士の資格を持っている方が、ほとんどです。
しかし、都道府県によっては介護福祉士や無資格の方も生活相談員として働くことができます。
あなたが資格要件に該当するかは、こちらのchallenged Asoさんのサイトに詳しく書いてあるので、参考にしてください。
生活相談員の業務内容
生活相談員の業務内容は多岐に渡ります。
- 施設の見学対応
- 新規利用者との契約
- 担当者会議、カンファレンスへの参加
- 介護請求業務
- 各種計画書の作成・交付
- ケアマネなど他機関との連携
- 新規利用者開拓のための営業
生活相談員と介護職を兼務になっている場合もあります。その場合は、現場での介護の業務も担う必要があります。
生活相談員が大変な5つの理由
生活相談員の仕事を引き受けたい。
でも「生活相談員は大変」と聞くし、迷ってしまう。
では、いったいどんなところが大変なのでしょう?
「大変」と言われる理由は、次の5つの理由が考えられます。
- 業務が多い
- 「偉い人」と思われやすい
- 上司や現場、利用者との板挟み状態になる
- 孤立しやすい
- 営業活動がある
では、ひとつづつ見ていきましょう。
大変1:業務の多い
先ほどご覧いただいたとおり、生活相談員の業務は多岐に渡るため、業務が多いです。
いわゆる「マルチタスク」と言えるでしょう。
- 計画書の作成途中で利用者さんに声を掛けられる
- 介護請求途中で電話が鳴る
- 営業途中で、事故報告の電話が入る
このように、同時に業務をこなさなければいけないことが、「大変」と言われる原因のひとつです。
大変2:「偉い人」と思われやすい
生活相談員は施設に1〜2人というところが多いかと思います。少数のためか、介護の現場からは「偉い人」のような扱いをされることがあります。
- 役割上、生活相談員は、家族やケアマネからの希望を聞くことが多い。
- その希望を介護職に相談をすると、それを「指示」と受け取られることがある。
生活相談員は基本的に役職ではなく、ひとつの職種です。
ですが、生活相談員の相談を「指示」と受け取られてしまうと、生活相談員があたかも上の立場の人(偉い人)に思われてしまうのです。
大変3:上司や現場、利用者、ケアマネとの板挟み状態になる
生活相談員は、上司や医師らと、介護現場の介護職や看護師との間に挟まれます。
- 「この利用者を是非利用させてほしい」とケアマネに言われて引き受けると、現場から「どうしてこんな大変な利用者を引き受けたの!?」と怒られる。
- 利用者から「○○をしてほしい」と言われても、現場の介護職や看護師からは「それはできない」と言われる。
本来、調整も生活相談員の役割のひとつです。なので生活相談員は、意見の違う人たちの妥協点を探っていがなければなりません。
誰でも自分の意見は通したいですから、生活相談員に矛先が向いてしまうのは、ある程度仕方がないことでしょう。
こうして、生活相談員はあらゆる方面からの意見に板挟みになることは、「大変」だと感じるひとつです。
大変4:孤立しやすい
施設での生活相談員の配置は1〜2人のところが多いようです。
同じ職種の人が少ないので、同じ悩みや苦労を共感できる人が施設にほとんどいません。
なので、生活相談員一人で問題や業務を抱え込んでいるうちに、孤立してしまうことがあります。
相談できる人が周りにいないと、自分自身がバーンアウトしてしまう可能性もあるのです。
大変5:営業活動がある
私の周りの生活相談員からは、「営業活動が大変」と話がよく出ます。
施設に営業活動が必要な理由は、次のようなことが考えられます。
- 施設は利用者が少ないと経営を圧迫する。
- 人件費や施設の運営費の確保は、利用者の人数にかかっている。
なので、利用者の人数が少ないと、上司に「営業に行ってこい」と言われてしまいます。
しかし、生活相談員は福祉出身の方が多く、ほとんどの方が営業の経験がありません。このようなことから、営業活動を負担に感じる方も多いようです。
生活相談員の営業については、こちらの記事も読んでください。
「大変さ」への対処方法5選

これだけ大変そうだと、生活相談員なんて引き受けない方が良さそうじゃん!!
たしかに、大変な部分だけ見るとうんざりしてしまいますよね。
でも安心してください。ちゃんと対処方法はあります!
生活相談員をやっている人たちは、次のような対処方法を取っています。
-
- 仕事のしやすい人間関係を築く
- 時短できそうなところは工夫する
- やりがいを見つける
- とにかく誰かに相談をする
- 休みの日はちゃんと休む
では、それぞれ見てみましょう。
対処方法1:仕事のしやすい人間関係を築く
先程もお伝えしたとおり、生活相談員は役職ではなく、ひとつの職種です。しかし、家族から依頼されたことを介護職や看護師に伝えるときに、どうしても指示っぽくなってしまいます。
ですので、あくまで介護職や看護師と同じ横並びな関係を意識しましょう。場合によっては、むしろ低姿勢くらいがいい時もあります。
例えば、介護職に家族からのお願い事を伝えるときは、
と言うと、一方的で指示的になってしまいます。
しかし、
など、相手の専門性を立てる質問をすれば、相手への印象も変わるでしょう。
このような対応をすることで、現場の風通しが良くなり、人間関係が良くなります。
自分自身の孤立を防ぐこともでき、仕事をしやすくなるでしょう。
対処方法2:時短できそうなところは工夫をする
生活相談員は、業務が多いので、できるだけ残業をしないで帰るには工夫が必要です。
例えば、業務を時短できる工夫として、次のようなことが考えられます。
- ケアマネへの軽微な報告は、FAXやメールにする。
- 報告書の文章をフォーマット化しておき、記入する箇所を減らす。
- 担当者会議の後にケアマネにパンフレットを渡し、わざわざ営業の訪問をしなくても済むようにする。
- 見学対応や契約書類などは、一式そろえて準備しておき、急な予定が入っても対処がすぐにできるようにしておく。
このように時間を有効に使う工夫をすることで、業務を減らすことができます。
そうすることで、あなたの使える時間が増え、ひとつづつの業務にゆとりを持つことができるようになります。
対処方法3:やりがいを見つける
生活相談員としても「やりがい」を見つけることで、大変さを乗り越えることができます。
生活相談員のやりがいとは、例えば次のようなことがあります。
- 制度や病気に詳しくなり、知識が身につく
- 利用者の家での様子を見ることができる
- ケアマネや病院など、施設外に知り合いができる
- 生活相談員の次のキャリアを描くことができる
日頃の業務の中にやりがいを見つけることで、あなたのモチベーションをアップさせることができるのです。
対処方法4:とにかく誰かに相談をする
生活相談員は、とにかく自分でため込まないよう、誰かに相談をするようにしましょう。
生活相談員は、精神的に疲労を溜め込みやすい環境にいます。なので、誰かに相談をすることができないと、バーンアウトしてしまう可能性もあります。

私は、実際にバーンアウトしてしまいました。そのときにもっと周りに相談できたらよかったなと思います。
あなたもバーンアウトしないよう、相談できる環境を作っておくことが大切です。
- 営業のやり方は上司や同僚に相談をする。
- 困難事例は、ひとりで抱え込まず、施設全体で対処をするように相談する。
- 担当者会議で、ほかの施設の生活相談員とつながりを作っておき、相談をする。
- TwitterなどのSNSでつぶやくのも方法。同じ立場の人に「いいね」してもらえるだけでも気持ちは楽になる。
生活相談員になる前の今から、自分の相談先を知っておくことが自分の身を守ることになります。
対処方法5:休みの日はちゃんと休む
生活相談員は、休みの日にはちゃんと休めるようにしましょう。
例えば、ちゃんと休むためには、次のようなことはしてはいけません。
- 仕事が終わらないので、家に仕事を持ち帰える
- 自分の携帯電話の番号を利用者やケアマネに教える
このようなことをしていると、せっかくのあなたの休日を奪うだけでなく、気持ちも休まりません。
また、個人情報を持ち帰えるのは、施設としても問題があります。
休みの日にきちんとあなたがリフレッシュできるよう、施設や職員にも理解してもらいましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
確かに、生活相談員は「大変」とよく言われます。
しかし、「大変」の中身を知ることで対処方法を事前に考えておくことができます。

対処方法が分かっていれば、安心して生活相談員を引き受けることができそうです!!
生活相談員は、とてもやりがいのある職種です。
また、生活相談員は、今後介護支援専門員(ケアマネ)の資格を取ったり、施設長になったりと、この先スキルアップできるポジションにいます。
今から生活相談員になろうとしているあなたは、是非生活相談員で経験を積んで、この先キャリアアップも目指してほしいと思います。
今回は以上です。
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