「悩みをかかえている女性の相談にのりたい!そんな仕事あるの?」
「DVやモラハラで苦しんでいる女性の助けになりたい!」
「資格はないけど、女性専用の相談所で働きたい」
そう考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
女性への支援としてはNPO法人で働く方法もあります。しかし、NPO法人ではなく、公的な機関で働きたい場合はどうなんでしょうか。
公的な機関で働く場としては、女性相談センターや配偶者暴力相談支援センター、市区町村の女性相談窓口があります。
そして、女性支援の専門職は、「女性相談員」です。
実は、私も女性相談員として役所に勤めていた期間があります。
そもそも女性相談は全国的に多くないので、募集の機会にあまり巡り合わないかもしれません。
私の場合、たまたま見ていた求人サイトに掲載されていたのを見つけました。その後募集をしたものの、実際にはあまり「女性相談員」というものを理解していませんでした。
今回は「女性相談員ってどんな仕事なの?」「どんなスキルが必要なの?」という疑問に、「女性相談員」をしていた私が答えていきます。
これを読むことで、「女性の支援を仕事にしたい」「女性相談員を目指したい」と思っている方の疑問を解決することができます。
是非最後まで読んでください。
女性相談員って何?
女性相談員とは、売春防止法や配偶者暴力防止法に定められている「婦人相談員」のことです。「婦人」という呼び方が今の時代にそぐわないので、法律上は「婦人相談員」でも、実際は「女性相談員」と呼んでいるところが多いです。
ちなみに売春防止法と配偶者暴力防止法には、次のように婦人相談員の(女性相談員)ことが書かれています。
都道府県知事は、社会的信望があり、かつ、第三項に規定する職務を行うに必要な熱意と識見を持っている者のうちから、婦人相談員に委嘱するものとする。
2 市長は、社会的信望があり、かつ、第三項に規定する職務を行うに必要な熱意と識見を持っている者のうちから、婦人相談員に委嘱することができる。
3 婦人相談員は、要保護女子につき、その発見に努め、相談に応じ、必要な指導を行い、及びこれらに付随する業務を行うものとする。
4 婦人相談員は、非常勤とする。
(売春防止法35条)
配偶者暴力防止法により、配偶者からの暴力の被害者の相談に応じ、必要な指導を行うことができることになっている婦人相談員の委嘱は、売春防止法が根拠となっている。
(配偶者暴力防止法第35条)
また、婦人相談員(女性相談員)が配置されているのは、
- 婦人保護施設
- 配偶者暴力相談支援センター
- 市役所など(任意設置)
となっています。つまり、まとめると女性相談員とはこのような方です。
女性相談員のお給料は?令和4年から加算も!?
女性相談員のお給料について、はっきりとした調査があったわけではないので正確なところは分かりません。
ただ、厚生労働省が令和3年に公表した「婦人保護事業強化について」には、経験年数5年のかたのモデル年収が載っていました。
経験年数5年目(研修修了者) 年収237.2万円(月額197.700円)
しかし、令和4年には婦人相談員の活動強化事業として予算が拡充しており、下記のように加算も新たに設定されるようです。
この加算が加わると、先ほどの経験年数5年目のケースを見ると
年収237.2万円 ⇒ 303.9万円
月額ベース197.700円 ⇒ 211.200円
となるようです。
どんな仕事をするの?
法律の根拠が売春防止法や配偶者暴力防止法なので、それらにまつわることの相談・指導を行います。
売春防止法の内容では、要保護女子(売春をする恐れのある女子)を婦人保護所に一時保護し、自立に導きます。つまり、売春をしようとしている女性に対する罰則・矯正的な要素があります。ただし、これは戦後にできた法律で時代にあっていないので、売春を理由に保護される女性の割合は低いですし、国としても売春防止法は改正していく動きがあります。
また、配偶者暴力防止法の内容では、DV被害女性の相談に乗ったり、婦人保護施設に一時保護をしたりします。
その他にも、離婚相談やこころの悩み、親や子どもの相談など、女性に関する相談は幅広く相談に応じます。
女性相談員に必要な3つのスキル
今まで見てきたとおり、女性相談員は、『社会的信望・熱意・識見が必要』となっています。
では、具体的にどんなスキルが必要なのでしょうか?
私は、女性相談員には3つのスキルが必要だと考えます。
- 社会福祉に関する知識があること
- 女性のおかれている立場への理解があること
- 関係機関と連絡・調整ができること
では、ひとつづつ見ていきましょう。
社会福祉に関する知識があること
女性相談の相談の中には、生活困窮や外国籍の方、障がい・発達障害のある方、ひきこもりの方、難病の方、精神疾患を患っている方、仕事を失った方など、様々な方からの相談を受けます。
ですので、幅広く社会福祉に関する知識は必要です。
医療・介護・障害・生活保護などの支援機関に適切につながるよう支援をしたり、助言をしたりしなくてはいけません。
これらの知識があることを立証するために、「社会福祉士・精神保健福祉士の資格所有者」を募集しているところもあります。
ただ、無資格でも女性相談員にはなれますので、その場合には自分で社会福祉の勉強をしていく必要があります。
女性のおかれている立場への理解があること
「なぜ、この女性は困っているのか」を考えられるスキルは必要でしょう。
女性の問題として、男性優位な社会構造で苦しんでいる方もいます。
例えば、「女性は家で家事をやるべき」「家計の管理をするべき」「養ってもらっているなら我慢するべき」「嫁が夫の両親の介護をするべき」「パートで働くべき」などです。また、女性は「子どもを産む性」だからゆえにさらされる、身体的なリスク(望まぬ妊娠・中絶)もあります。
実はDVや生活困窮の根本にはこのような男性優位な社会構造が隠れています。
「最近はそんな男尊女卑な考えは少なくなっているだろう」と思われるかもしれません。しかし、実際には今もまだこのような社会構造で苦しんでいる方は多いのです。
このような社会構造による女性の生きづらさに共感し、寄り添うスキルは必要かと思います。
関係機関と連絡・調整ができる
女性相談には様々な悩みの方が来られます。
基本女性相談は、売春防止法や配偶者暴力防止法に基づくため、それ以外の内容については他機関に連携を働きかける必要があります。
生活保護が必要なら生活福祉課へ、障がいがありサービスが必要なら障害福祉課、離婚で弁護士が必要なら法テラスなどの法律相談などです。
このように多方面に連携を取る必要があるので、連絡・調整のスキルは必要になるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。女性相談員を目指す方の参考になりましたでしようか。
今国会では売春防止法改正に向けて議論されており、売春防止法は一時保護機能を残して、女性支援法に改正される予定です。それに伴い、女性相談員は女性相談支援員に改名され、委嘱ではなく行政に雇われる立場に変わる予定です。
これから女性相談員の立場向上を期待したいですね。
また、女性相談員の雇用は、年度ごとの契約であることが多いです。
年度初めの4月から働けるよう、求人はその前の12月~2月ごろに出やすくなります。
女性相談員を目指すのであれば、年度終わりの12月~2月ごろの求人を気を付けてチェックをしておきましょう。
自治体のホームページに求人の掲載されるます。
また、私のように、求人サイトで見つけられることもあります。
- 12月~2月ごろに求人をチェックする
- 自治体のホームページ募集情報や求人サイトを見る
では、今回は以上です。
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